投資初心者が不動産投資に安易に手を出すべきではない理由|知らないと危険なリスクを解説

マネー・資産形成
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不動産自体は良い投資

まず誤解のないように言っておくと、不動産投資自体は非常に良い投資になり得ます。
良い物件を適正価格で手に入れられれば、安定した収益を生み出し、専業大家さんとして莫大な富を築いている投資家もいます。

しかしながら、当ブログでは素人が安易に手を出すべきではないという立場をとっています。
なぜなら、不動産投資には数多くの落とし穴があり、動く金額が大きいため、1つのミスで人生が大きく狂わされる可能性があるからです。


ふくろうくん
ふくろうくん

不動産投資は事業の側面もあって、いろんな要素が絡むんだ。だから『おすすめされた物件を買えば家賃収入が得られて不労所得!』なんて考えてるなら、今すぐ考えを改めるべきだよ。

すずめくん
すずめくん

事業性も高いし、成功の再現性が必ずしも高いわけじゃないんだね。


不動産投資には幅広い知識が必要

不動産投資と一言に言っても、求められる知識は多岐にわたります。

  • 建築・リフォームなどの知識
  • 給湯器など設備の知識
  • 法律・税務の知識
  • 銀行融資の知識
  • 利回り計算など金融知識
  • 事業経営の知識

このうちどれかが欠けているだけでも、思わぬ損失を被るリスクがあります。


ふくろうくん
ふくろうくん

例えば、法律や税務に詳しくても、物件自体のリスクを見逃せば、購入後すぐに多額の修繕費がかかって赤字になることもあるよ。

すずめくん
すずめくん

買った物件が違法建築だったって話、聞いたことあるよ!法律とか税務が分からないと、予想外のリスクがありそうだよね……。


さらに、金融や事業経営の知識が不足していると、入居付けに苦労して家賃収入が下がり、赤字になることもあります。
このように、不動産投資には非常に幅広く深い知識が求められるのです。

勉強不足のまま営業マンの言われるがままに数千万円の融資を組み、物件を購入すると、家賃収入が思うように入らず、ローン返済が足りなくなって毎月自腹を切ることもあります。
資産になると思って購入した不動産が、実は毎月お金を奪う「負債」になるケースもあるのです。


不動産業界特有のブラックな側面

上記のように不動産投資には多くのリスクがありますが、それをさらに深刻化させるのが悪徳不動産業者の存在です。

不動産投資は、「不動産賃貸業」という家賃収入を得て利益を追求する事業者に近い立場とみなされます。
つまり、不動産投資はプロとして知識を持っていると判断され、被害者救済が難しい傾向にあります。

そこに付け込み、会社員や公務員、医者など不動産投資に詳しくない個人に対して、相場より高い割高な物件を売りつける悪徳業者の被害は後を絶ちません。


ふくろうくん
ふくろうくん

知識がないことに付けこんで、悪徳業者が割高だったり問題のある物件を素人に買わせる事例がよくあるんだ。

すずめくん
すずめくん

しかも、事業者だってみなされるから、完全自己責任で救済に乏しいなんて・・・。

参考:国民生活センター「不動産投資に関するトラブル」


銀行融資の魅力とレバレッジ効果の正体

不動産投資の大きな魅力の一つが、銀行融資を利用できることです。
これにより、手元資金以上の高額な物件を購入することが可能になります。

例えば、

  • 500万円の自己資金で利回り10%の物件を買うと、年間家賃収入は50万円です。
  • 一方、同じ500万円を頭金にして銀行から2,500万円を借りて3,000万円の物件を購入した場合、利回りが5%と半分に下がっても年間家賃収入は150万円になります。

このように、銀行融資を活用すると自己資金に対して大きな収益を得られる「レバレッジ効果」を活用できるのです。

ローン返済を家賃収入でまかなえれば、返済終了後は家賃収入がまるまる手元に入ります。
一部では自己資金ゼロの「フルローン」で始められるケースもあり、その場合は自己資金ゼロで収益が発生するため、効率的な投資に思えるかもしれません。

しかし、ハイリターンには必ずハイリスクが伴います。


すずめくん
すずめくん

レバレッジ最高!家賃収入から銀行返済すれば絶対勝てるじゃん!

ふくろうくん
ふくろうくん

さっきまで慎重だったのに、すぐ目がくらむんだから!ハイリターンには必ずハイリスクが伴うことを忘れちゃだめだよ!


用語解説

利回り
1年間で、投資したお金がどれくらい増えたかをパーセントで表したものです。
たとえば、ある商品にお金を投資して、その結果として1年後に利益(配当金や利息など)を受け取ったとします。
その利益が投資した金額に対してどれくらいの割合かを「利回り」と言います。

レバレッジ
少ない自己資金で大きな金額の投資をする仕組みのことです。
「てこの原理(leverage)」のように、借入(ローン)を利用して投資効果を高めることを指します。

フルローン
物件費用をすべて銀行などからの借入でまかなうことです。
頭金なしで、自己資金を使わずに不動産投資を始めることができます。


レバレッジの裏に潜むリスク

銀行融資を受けるということは、銀行に返済義務を負うということを意味します。
物件が空室だらけになり家賃収入が減少すれば、ローン返済を家賃で賄えず、毎月自己資金から補填する必要があります。

例えば、月に5万円足りなければ、その分を自腹で払い続けなければなりません。
たとえ黒字だったとしても、経営がぎりぎりの状態であれば、管理費・修繕費・設備の故障などの突発的な支出によって簡単に赤字に転落する可能性もあります。


ふくろうくん
ふくろうくん

返済は待ってもらえません。十分な収益性を見込める物件なら良いですが、そうでなければ返済で生活が苦しくなることもあるでしょう。

すずめくん
すずめくん

あ、そっか。銀行返済と修繕費とかの支出を見込んでも十分に利益が出ないと、むしろ赤字になっちゃうのか。


不当に高く買わされる物件の問題

さらに深刻なのが、相場よりも高く物件を買わされるケースです。
赤字になっても、売却によってローンを完済できるならまだ救われますが、実際には売却価格がローン残債を下回ってしまう事例が多くあります。

とくに不動産営業に勧められて購入した物件は、不動産会社の利益分が大きく上乗せされ、相場とかけ離れた価格で買わされている場合が少なくありません。

また、不動産は株や投資信託と違って流動性が低い資産です。売りたくてもなかなか売れず、売却価格を大きく下げる必要がある場合もあります。

買ったはいいものの、毎月赤字。それでも価格を下げて売却すれば大きな借金が残る。こうなると、損をしているのに売ることもできないという八方ふさがりの状態に陥ることすらあります。


すずめくん
すずめくん

えっ、売っても借金だけ残るってこと?それじゃあ家賃収入もなくなるし、もっと大変じゃん!

ふくろうくん
ふくろうくん

そうなんだ。売ってもローンが残ると、家賃も入らないのに返済だけ続く。だから売るに売れなくなって、ずっと苦しい状況が続くんだよ。


表面利回りの罠

不動産投資では、購入した物件に入居者をつけ、その家賃収入を得ることで収益を上げていきます。
その家賃収入を基に、よく使われるのが「表面利回り」という指標です。

たとえば、年間家賃収入が100万円、物件価格が1,000万円だった場合、表面利回りは10%という計算になります。


すずめくん
すずめくん

不動産のサイト見ると利回り10%とかあるよ!これすごく良くない?NISAとかで5%くらいって聞いたことあるよ!

ふくろうくん
ふくろうくん

ちょっと待って!表面利回りはあくまで“見かけ上の数値”なんだ。本当の利益を知るには、もっとたくさんのコストを計算しないといけないんだよ。


不動産には見えない費用がたくさんある

先ほども少し触れましたが、不動産投資は「不動産賃貸業」という事業の側面を強く持っています。
つまり、長期保有の株式投資のように“買って放置”とはいきません。

購入時にかかる費用の例
  • 不動産取得税
  • 登記費用(司法書士報酬など)
  • 仲介手数料
  • 銀行の融資手数料・保証料など
購入後に継続してかかる費用の例
  • 修繕費・リフォーム費用
  • ハウスクリーニングや定期メンテナンス
  • 火災保険・地震保険
  • 管理会社への委託料
  • 入居者募集の広告費や仲介手数料
  • 固定資産税・都市計画税
  • 税理士報酬 など

ふくろうくん
ふくろうくん

こうした費用を差し引いた後に残る金額、それが“実質利回り”だよ。表面利回りが10%でも、実質利回りは6%なんてこともよくあるんだ。

すずめくん
すずめくん

こう見ると物件によって費用も変わるだろうから、表面利回りだけじゃなんとも言えないんだね・・・。


年数が経つと、利回りはさらに悪化する

築年数が経てば経つほど、建物の老朽化などで修繕費やクリーニング、リフォーム費用は増えていきます。
一方で、築年数の経った物件では家賃を下げざるを得ないケースも多く、収入は減少していきます。

つまり、時間の経過とともに「実質利回り」がどんどん下がっていく可能性が高いのです。


ふくろうくん
ふくろうくん

築5年の物件と築30年の物件では、当然築30年の方が家賃は安いですよね。にもかかわらず老朽化で修繕費やリフォーム費用はかさみます。築年数が経つほど利回りは悪化していく傾向にあるんです。

すずめくん
すずめくん

築年数が経てば、物件価格も下がるだろうから、かなり余裕をもって利回り計算しとかないと大変なことになりそうだよね・・・。


悪徳業者は表面利回りばかりを強調する

不動産営業や悪徳業者は、こういった費用の話を十分に説明しません。
説明したとしても、非常に楽観的または限定的な内容にとどまります。

彼らは「表面利回り」だけを強調して、

不動産営業
不動産営業

「NISAの利回りは5%ですよ?でもこの物件なら利回り8%で、しかも現物資産です!」
「現物だからインフレに強いし、将来は年金代わりになりますよ!」

などと言葉巧みに勧誘してくるのです。

築年数による利回りの悪化や各種費用を現実的に考慮し、実質利回りを緻密に計算すれば、実は危険な投資であることが分かります。
しかし、不動産営業は非常に巧みな話術と広い知識をもって勧誘してきます。業者によっては、平然と嘘をつくこともあります。

そのため、話せば話すほど丸め込まれてしまう危険性があるのです。
不動産の勧誘をしてくる業者とは、最初から話をしないのが最善の防衛策と言えるでしょう。


すずめくん
すずめくん

相手は専門家だし、こっちが反論しても自信満々に受け答えされたら、「そうなのかな?」って思っちゃいそう・・・。

ふくろうくん
ふくろうくん

よほど自分の知識に自信がなければ、簡単に丸め込まれてしまうでしょう。そもそも、不動産業者と議論をする必要はありません。最初から話を聞かないのが一番の防衛です。


売却益を狙えるのは限られた地域のみ

基本的に日本は少子高齢化により人口減少が続いています。
特に地方や郊外の物件は、築年数の経過とともに価格が下がるのが一般的です。

将来も価値を維持し、売却益を狙える物件は、都心の一等地などごく一部に限られます
しかし、そういった物件は現在すでに価格が高騰しており、1億円以上、場所によっては2億円を超えることも珍しくありません。
資産価値の高い物件は競争も激しく、簡単に手が届くものではないのです。

それにもかかわらず、悪質な不動産業者は「都心のマンションです」と謳いながら、実際には東京郊外の微妙な立地の物件を勧めてくるケースがあります。
こうした物件は将来の資産価値が乏しく、値上がりどころか、買った瞬間に値下がりしている可能性すらあります。


ふくろうくん
ふくろうくん

都心以外にも再開発エリアや観光地などで値上がりする物件もあるよ。
だけど、絶対とは言い切れないし、人気物件はすぐに売り切れる。
だから、そんな良物件なら不動産業者がわざわざ営業するまでもなく売れてるはずだよ。

すずめくん
すずめくん

都心や人気エリアなら確かにほっといてもすぐに売れるはずだもんね…。
わざわざ電話とかで営業してくる時点でちょっと変だよね。


都心エリアとは?

「都心」とは一般的に千代田区・港区・中央区の3区を指します。
また、渋谷・新宿・文京・目黒なども「都心近接の高需要エリア」とされ、不動産価格の維持や上昇が見込める地域です。

特に再開発エリア・駅近・ブランドマンションなどは資産性を保ちやすく、値下がりしにくい傾向があります。
ただし、都心のすべての不動産が今後も必ず値上がりするとは限らない点には注意しましょう。


まとめ:不動産投資は「知識がある人」だけが取り組むべき投資

不動産投資は、うまくいけば安定収入や資産形成につながる魅力的な投資手法です。
しかし、それは「適切な物件を、適正な価格で購入し、長期的に運用できるだけの知識と経験がある場合」に限られます。

不動産には多くの目に見えないコストが存在し、利回りも年々悪化していきます。
加えて、悪質な業者による「割高物件の押し売り」や、「都心」などの言葉のトリックによって、初心者が不利な条件で物件を購入してしまうケースも少なくありません。

また、銀行融資によって得られるレバレッジ効果は、一歩間違えば毎月の赤字や売却損を招き、経済的に身動きが取れない状態になることもあります。


不動産投資を始める前に、自問すべき4つの質問

  • 自分は不動産の知識を十分に持っているか?
  • 物件価格の妥当性を判断できる力があるか?
  • 業者の営業トークに騙されない自信はあるか?
  • 空室や修繕などのリスクに耐えられる経済力があるか?

これらの問いにYESと自信を持って答えられない場合、
不動産投資に手を出すのは極めて危険です。

将来の資産形成や不労所得を夢見ること自体は素晴らしいことですが、
その手段として不動産を選ぶなら、相応の準備・勉強・覚悟が必要です。


当ブログでは、暮らしの質を高めるための情報を発信しています。
今後は、悪徳不動産業者の典型的な手口などについても解説予定です。
興味があれば、ぜひ他の記事もご覧ください。


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