前回の記事では、資産運用とは何かという基本的なことを書きました。

銀行預金も広い意味では資産運用だけど、インフレとかを考えると不十分って話だったよね!

その通り。株式投資など他のリスク資産も保有し、長期的な目線で大きな利益を狙うことが大切だよ。
今回の記事では、具体的にどうすればいいのか、どんなものに投資すればいいのかということをお話ししていきます。
投資商品は星の数ほどあり、一言に投資といっても様々なものがあります。株や債券、不動産や金(ゴールド)などへの投資から、ビットコインをはじめとした暗号通貨やFXといった高リスクなもの、アート作品やワイン、高級腕時計など非常に多種多様なものが投資対象になります。
しかし、資産運用という観点から見ると、投資すべきものはそれほど多くはありません。

ワインとかアート作品も投資なの!?

幅広いものが投資の対象になり得るんですね。
現状では株や債券などのペーパーアセットが主流
資産運用の観点では、現状主流なのは株や債券などのペーパーアセットです。
特に市場全体に投資できる投資信託、それも日経平均株価やS&P500といった特定の株価指数(インデックス)に連動する運用を目指す投資信託を購入するのが一般的です。
理由としては、集中投資を避けるためです。
一つの企業の株だけを購入していると、その企業の業績が悪くなったときにあなたの資産は大きく減ってしまうことになります。しかし、2つの企業の株を持っていれば、1社の株価が下がってももう1社が頑張ってくれていれば、全体としてあなたの資産は大きくは減りませんよね。
1社より2社、もっとたくさんの株を持っていれば、それだけリスク分散になります。
また、一つの産業にだけ投資をしているのもリスクが高く、その産業が何らかの理由で業績が下がった場合に大きな損をしてしまいかねません。
このように投資対象が偏ると、うまくいっているときには大きなリターンを得られるかもしれませんが、反対にうまくいっていないときに大きな損失を出してしまう可能性があるのです。
そのため、広く分散して投資をした方が良いということになります。

投資信託は色々な株が入っているセット商品みたいなものなんだね。

集中投資はリターンも大きいかもしれないけど、リスクも大きいんです。
インデックスファンドとは?アクティブファンドとの違い
投資信託にはインデックスファンド(パッシブファンド)とアクティブファンドという2種類が存在しています。
厳密な違いについて解説を始めるとそれだけで1記事書けるほどのボリュームになるため、ここでは簡単に説明します。
インデックスファンドとは
日経平均株価やS&P500などといった株式市場全体の値動きを一定の方法で計算して数値化した指標(インデックス)に連動するように運用される投資信託のことです。
- 日経平均株価(日経225)
- 東証株価指数(TOPIX)
- MSCI ACWI指数
- S&P500指数
- NYダウ工業株30種平均指数(NYダウ)
アクティブファンドとは
優秀なファンドマネージャーと呼ばれる人が、指数以上の成績を出すためにいろんな株を入れ替えたり積極的に運用している投資信託のことを指します。
こう聞くとアクティブファンドの方がよさそうですが、実際には多くの場合でインデックスファンドの方が合理的な選択となります。
細かい説明は割愛しますが、簡単に言うとアクティブファンドはインデックスファンドより高額な手数料がかかるにも関わらず、多くの場合でインデックスファンドより良い成績を出せていないためです。
資産運用は小さな利回り(年間リターン率)を長期間かけて運用するのが基本です。そのため、手数料が高いというのは、運用年数が長くなればなるほどじわじわと大きな差になってしまいます。

高いのに成績があんまりよくないんじゃ、コスパは良くないね・・・。

優秀なアクティブファンドもありますが、初心者であればインデックスファンドに投資をするのが無難でしょう。
具体的にはどんなファンドに投資すればいいの?
前置きが長くなってしまいましたが、実は資産運用という観点から見た場合、購入すべき銘柄の選択肢はそれほど多くはありません。というのも、リターンや手数料、リスクなどを見ていくと、自ずといくつかの選択肢に絞らざるを得ないためです。私が特にお勧めするのは下記の2つになります。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
その名の通り、日本を含む先進国および新興国の株式に幅広く分散投資するインデックスファンドです。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)という指数に連動する運用を目指すファンドです。広く分散投資ができるため、世界全体の経済成長に合わせて安定した成績を出すことが期待できます。インデックスファンドなので販売手数料はかからず、信託報酬も非常に低く、年率0.05775%程度(2025年8月現在)で、長期の資産形成に適したコストパフォーマンスの高さが特徴です。 - eMAXIS Slim 全米株式(S&P500)
米国の代表的な株価指数であるS&P500に連動するインデックスファンドです。米国株式市場の成長に着目し、米国の主要大型企業500銘柄に分散投資を行います。こちらも信託報酬は低く抑えられており、特に米国市場の成長を取り込みたい投資家に適しています。
両ファンドとも低コストで運用されており、長期投資を前提にリスク分散しながら資産形成を目指すことができます。これら2つと同じ指数に連動している「たわらノーロード全世界株式」や「iFree S&P500インデックス」など他のファンドも同様におすすめですが、信託報酬がやや高かったりするため、特に理由がなければ上記2つのファンドのどちらかを購入しておけばよいと思います。どれを買ってもノーロード(販売時手数料なし)で同じ指数に連動するインデックスファンドであれば、大きな違いはありません。

全世界かアメリカか~悩むなあ・・・。

オルカン(全世界株)も内訳のおよそ60%くらいが米国株式だったりしますので、あまり変わらないのでは?という議論もあります。ここは個人の好みの問題になってくるかもしれませんね。
それ以外に選択肢はないの?
基本的には先に紹介したインデックスファンドのどれかを買っておけばよいでしょう。しかし、その他の選択肢として下記のようなものもあります。
- 高配当株投資
高配当株投資とは、高い配当利回りを持つ株式に投資し、その配当金を主な収益源とする投資方法です。3~4%程度の利回りの銘柄を長期で保有し、安定的に配当収入を得るスタイルが推奨されます。ただし、高配当株投資は自身で個別株を選んで買っていくことになるため、幅広い知識を持ち、タイミングを考えながら投資する必要があり、中~上級者向けと言えるでしょう。しかしながら、株の値上がり益を狙う投資手法ではなく、質の高い銘柄を長期にわたり分散して持てば安定した配当収入を得ることができます。 - REIT(不動産投資信託)
REITはオフィスビルや商業施設などの不動産に間接的に投資する仕組みで、家賃収入などから分配金を得られるのが特徴です。株式とは異なる値動きをするため、分散投資の一環として取り入れることも可能です。ただし、金利や景気の影響を受けやすく、基本的にはメインではなく、ポートフォリオの一部として検討するのがよいでしょう。国内REITや米国REITに投資できるインデックスファンドもありますが、まずは株式インデックスを中心に考えるべきです。 - ゴールドETF
金への投資も資産運用で取り入れられることがあります。金は円などの通貨のインフレ時には相対的に価格が上がるためインフレに強く、株式や債券とは異なる値動きをするため、リスク分散の観点から一定割合を保有するのも一つの選択肢です。現在は現物を保有するよりも、ETF(投資信託の一種)という形でペーパーアセットとして保有するのが一般的です。中でも「SPDRゴールド・シェア(GLD)」は世界的に有名なゴールドETFで、時価総額が大きく流動性が高いのが特徴です。実際の金価格に連動し、コストも比較的低く抑えられているため、ゴールドに投資するならまず検討すべきETFと言えるでしょう。

金って金庫に入れておかないとダメなのかと思ってたよ!

ETFならペーパーアセットとして簡単に保有できますよ。
まとめ:資産運用で選ぶべきは、まずはインデックスファンド(投資信託)
投資と一言に言っても対象は多様です。
しかし、資産運用の観点から見たときに、初心者が投資すべきものは以下の2つのいずれかです。
1. MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスの株価指数に連動するインデックスファンド
(例:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) など)
2. S&P500の株価指数に連動するインデックスファンド
(例:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) など)
それ以外にも多くの優れた投資手法はありますが、今回は初心者向けということで、最も無難で合理的な例を紹介しました。
投資の世界では、日々の勉強が非常に大切です。継続して学び、知識がついてきたら、インデックスファンド以外の投資手法も視野に入れると良いでしょう。
今回は「投資先をどこにすべきか」という点についてお話ししました。
次回の記事では、実際にどうやって投資をすればよいのか、おすすめの証券会社や購入方法など実務的な部分を取り上げていこうと思いますので、ぜひ次回もチェックしてください。
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