前回は、ワンルームマンション投資の落とし穴として、悪徳業者の手口や、ローン・物件に潜む危険ポイントについて解説しました。
今回はその続編として、空室リスクと、そこに付け込むサブリース契約、そして人を騙す悪徳業者の常套句について解説します。
空室リスクと“悪魔のサブリース契約”
家賃収入によるキャッシュフローを得ることを目的とする不動産投資には、必ず「空室リスク」が存在します。
どれほど良い物件を購入しても、入居者がいなければ家賃収入はゼロとなり、毎月のローン返済が重くのしかかります。
特にワンルームマンション投資では、家賃収入がローン返済額ギリギリであるケースが多く、ひとたび退去者が出るとすぐに赤字になることも珍しくありません。
そこで登場するのが、悪徳業者が勧めてくる「サブリース契約」という、まるで安心を装った“悪魔の契約”です。
サブリース契約とは
簡単に説明すると、サブリース契約とは入居者がいなくても不動産会社が家賃をオーナーに保証する仕組みのことです。
たとえば「月10万円の家賃保証」であれば、入居者の有無に関わらず毎月10万円が業者から振り込まれます。
一見すると非常に魅力的に見えますが、実際にはこのサブリース契約がオーナーを経済的に追い込む“悪魔の契約”となるのです。

家賃保証してくれるなら、めっちゃいいじゃん!

下記の説明を見ると、どれだけひどい契約か分かるよ。
勝手に家賃が下げられる
サブリース契約書には、次のような記載があります。
甲(オーナー)及び乙(サブリース会社)は、次の各号の一に該当する場合には、協議の上、賃料を改定することができる。
一.土地又は建物に対する租税その他の負担の増減により賃料が不相当となった場合
二.土地又は建物の価格の上昇又は低下、その他の経済事情の変動により賃料が不相当となった場合
三.近傍同種の建物の賃料に比較して賃料が不相当となった場合
「協議の上、改定することができる」という表現は、あたかもオーナーと業者双方の合意がなければ改定できないように読めます。
しかし実際には、サブリース会社(借主)が「賃料が不相当になった」と主張し、オーナーが応じなければ 借地借家法32条 を根拠に裁判を起こされ、減額が認められてしまう可能性が高いのです。
借地借家法32条は、本来は入居者を保護するための法律で、周辺相場の下落などがあれば入居者が家賃の値下げを請求できるというものです。
しかしサブリース契約では、それを逆手に取り、サブリース会社が物件所有者から部屋を「借りている」立場となるため、高めに設定された家賃を一方的に下げられてしまうのです。
築年数が経つほど家賃は下がるため、銀行ローンは残っているのに収入は減り、手出しの赤字がどんどん増えていきます。
解約できない
サブリース契約が付いた物件は、売却時にも大きな障害となります。
サブリースがオーナーにとって、マイナス契約であることを知っている人は、サブリース契約付き物件を購入しません。
サブリースを外せば売却できる物件であっても、業者が契約を解除してくれないケースが非常に多いのです。
半永久的に家賃差額が吸われ続ける
悪徳業者は、オーナーからサブリース契約で借り上げた物件を実際の入居者に貸し出します。
そして入居者からの家賃から、あなたに契約上の賃料を支払いますが、当然、あなたに支払われる金額は 実際の家賃より安い ものです。
本来の家賃とあなたへの家賃の差額が業者の利益となるのです。
しかも、上記の通り合意がなければサブリース契約は解約できないため、家賃差額は半永久的に吸われ続けることになります。

家賃保証するって約束したくせに、勝手に家賃下げられちゃうの!?

“家賃保証=安心”と思ったら大間違い。
サブリース契約は、家賃を勝手に下げられ、差額を抜かれ、解約もできない恐ろしい契約なんだ。
悪徳業者が使う “甘い言葉” にご注意を
ここまでの記事を読んでくださった皆さんなら、もう簡単には騙されないと思います。しかし、悪徳不動産業者は契約させるために、非常に巧妙な話術を使ってきます。
ここでは、特に多い “常とう句” を取り上げ、その真実を解説します。
「節税になりますよ」
これは、損益通算という仕組みを都合よく利用したトークです。
損益通算とは、確定申告時に不動産投資で赤字が出ていれば、その分課税所得を小さくできる仕組みのこと。
減価償却や管理費などで不動産事業が赤字になれば、その分税金が減る──というだけの話です。
しかしここで重要なのは、
“節税”ではなく “投資が赤字だから結果的に減っているだけ”
という点です。
つまり「節税」と聞こえが良い言葉を使っていますが、実態は “損しているから税金が下がっているだけ” です。
ワンルームマンション投資では、この節税効果はごく限定的。
「節税になりますよ」という甘い誘い文句を使ってくる業者には注意すべきです。
本来、不動産投資とはキャッシュフロー(家賃収入)を得るための投資であり、節税目的で始めるべきものではありません。
「年金代わりになりますよ」
なりません。
ワンルームマンションは築年数とともに家賃が下落し、物件価格も下がっていきます。
多くのケースで途中から家賃収入が減少し、赤字に転落します。
そしてローン完済時には築30年を超えた古い物件が残り、そこから得られる家賃だけでは、これまでの赤字を取り戻すのは困難です。
将来のお金を確保したいのであれば、
iDeCoやNISAなどの積立投資、あるいは堅実な定期預金の方がよほど合理的と言えるでしょう。
「生命保険代わりになりますよ」
こちらも成立しません。
これはローン契約時に加入する「団体信用生命保険(団信)」を指しています。
団信は、死亡時などにローン残債を肩代わりしてくれる保険ですが、それを生命保険の代わりと説明するのは、発想が飛躍しすぎています。
例えば、掛け捨ての死亡保険であれば、年齢などにもよりますが、
月2,000〜3,000円で2,000万円の保障が得られる商品もあります。
一方でワンルームマンション投資は、
- 最初だけ黒字
- 途中から毎月数万円の赤字
- 死亡してローン完済後に残るのは、価値が下がった築古ワンルーム
たとえ死亡時にローンが消えたとしても、それが本当に“生命保険の代わり”と言えるでしょうか。
不動産は投資であり、保険とは本質的に別物です。
保障が必要なら、素直に掛け捨ての死亡保険に加入するのが合理的です。
「不動産はインフレに強いですよ」「資産価値が落ちにくいですよ」
理屈としては正しいですが、ワンルーム投資に当てはめると話は別です。
なぜなら 多くの悪徳業者は “割高な価格” で売りつけてくるため、
買った瞬間に 数百万円のマイナス を抱えてスタートするからです。
本来1,500万円の価値しかない物件を、2,000万円で購入した場合
→ 500万円の損をしてスタート
そこから35年後には1,000万円以下になるケースも珍しくなく、
結果として 購入価格から1,000万円以上の損失 になることもあります。
「資産価値が落ちにくい」どころの話ではありません。
「空室保証があるからリスクはありません」
これは前述したサブリース契約のことです。
リスクが無いどころか、むしろ最大の落とし穴。
家賃の一方的な減額、解約できない構造、差額のピンハネなど、
まさに“悪魔の契約”と呼ばれる理由があります。
詳しくは前章で解説した通りです。
まとめ:失敗を防ぐために覚えておくべきポイント
ここで紹介してきたような甘い文句で勧誘してくる不動産業者は、基本的にすべて悪徳業者だと考えておくべきです。
不動産投資はあくまで「リターン(家賃収入)」を得るためのものであり、節税・保険代わり・年金代わりといった勧誘は、本質のすり替えにすぎません。
このような甘い勧誘文句を使ってくるということは、それ以外にアピールできる要素がない証拠でもあります。
悪質な業者は、あの手この手で、あたかも優良な投資先であるかのように演出してきます。
中には、最初から赤字が確定しているにもかかわらず、

毎月たった2万円で、35年後には2,000万円の都心マンションがあなたのものになります!
といった“夢のような”言葉で誘ってくるケースもあります。
しかし、ここまで読んでくださった皆さんならもうお分かりのとおり、
- 最初から毎月2万円の赤字を垂れ流し
- 築年数が経つほど家賃下落 → 赤字はさらに悪化
- 35年後には、2,000万円で買った物件が 1,000万円以下の価値 になってあなたの手元に残る
これが現実です。
もちろん、不動産価格がたまたま値上がりすればプラスになる可能性もゼロではありません。
しかし実際には、資産性も需要も低い“微妙な割高ワンルーム”を高値で買わされるケースが圧倒的に多く、その結果として多くの人が苦しんでいます。
そもそも、不動産投資は本来、自分で情報を集め、優良物件を見極めて投資するものです。
突然の電話やDM、訪問営業によって持ちかけられる“儲かる話”が、あなたの利益のために用意されていることはまずありません。
加えて、友人や知人からの紹介にも強い注意が必要です。
不動産会社がバックマージン(紹介料)を渡して知り合いを紹介させるケースは珍しくなく、紹介した本人は悪意がなくても、金銭が絡むと判断が歪むことがあります。「知っている人だから安心」という考え方こそ危険であり、相手が誰であれ、“向こうから持ちかけてくる儲け話”には基本的に価値がありません。
さらに、ワンルームマンションに限らず、自分が理解していないものには絶対に投資しないというのが投資の大原則です。
自分が詳しくないものや、仕組みを説明できない商品に高額なお金を出し、ましてや自分のお金だけで買えないほど高額な物件にローンまで組んで投資するべきではありません。
甘い誘い文句に流され、自分で詳しくもないものに負債を負ってまで大金を投じれば待っているのは破滅です。
当記事では他にも不動産関連や、悪質な業者の手口などについての記事を掲載しています。
貴方の大切な人生を狂わされないためにも、ぜひ他の記事もチェックしていってください。



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