家賃の値上げはさせない!管理会社等から家賃の値上げが来た時の対処法

不動産
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こんにちはAkitoです。

以下のようなニュースが最近巷を騒がせています。

専門家によると、日本でマンションのオーナーになった企業が家賃を値上げさせるなどして住民を退去させ、民泊へと転用を図るケースが目立っているという。

【独自】突然“家賃2.5倍”・エレベーター使用停止…「全部屋19万円に」住民怒り約4割が退去 背景に“違法民泊”か?

この件では、あまりに反響が大きく、中国人オーナーが家賃値上げを取りやめてくれました。
しかし、SNSなどでは度々家賃の値上げ通知が来たという投稿を見かけることがあります。

こんな通知が来たら焦ってしまいますね。

しかしどんな時でも重要な決定は焦らず、必ずどうすべきか確認や相談をするということです。

今回は家賃の値上げの通知が来たらどのように対応すればいいのかを解説しようと思います。

まず最初にすべきこと

結論から言うと、入居者の同意がない限り、家賃を一方的に値上げすることは基本的にはできません。
※管理費も同様に同意なしに値上げはできません。
そのため、家賃値上げの通知が届いても、すぐに返事をしてはいけません。

一度、了承や同意しますと返答してしまうと、値上げに同意したと見なされてしまい、後から「やっぱり元に戻してほしい」と言っても取り消すのは非常に難しくなります。

通知が届いたら、まずは落ち着いてください。
「すぐに返事をしない」ことが最初の正しい対応です。

中には、まるで家賃の値上げが当然であるかのように通知してくる管理会社や大家さんもいますが、慌てる必要はありません。冷静に「家賃の値上げには同意できません」と、明確に拒否の意思を伝えるだけで大丈夫です。

とは言え、中には値上げに応じざるを得ないケースもあります。どんな場合に家賃の値上げを拒否できて、どんな場合には拒否が難しいのか、その判断ポイントを詳しく見ていきましょう。

基本的には家賃値上げは断れる

先ほどもお伝えしましたが、家賃の値上げは基本的には断ることが可能です。
借地借家法第32条には、以下のように記載されています。


建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。


少し難しい言い回しですが、要は「経済変動によって家賃が不相当になった場合、値上げや値下げを請求できる」ということです。

例えば、周囲の似た条件(築年数や間取りが同じくらい)の家賃平均が15万円なのに、自分の家だけ家賃が5万円だったら、大家さんは「家賃を上げさせて」と請求できるわけです。

逆に、周囲と比べて自分の家賃が高すぎると感じた場合は、入居者側から家賃の引き下げを請求することも可能です。

ここで重要なのは、「請求ができる」という点です。
強制ではなく、合意が必要ということを忘れないでください。
請求があっても、それに合意するかどうかは入居者の自由なんです。


値上げが相当と認められる場合もある

基本的には拒否できますが、もし本当に現在の家賃が周囲と比較して著しく安い場合には、
大家さんが訴訟を起こす可能性もあります。

訴訟期間中は今まで通りの家賃を支払い続ければよいですが、
万が一、敗訴した場合は、請求があった日まで遡って差額分を支払わなければならなくなる可能性があります

とはいえ、借地借家法では借主は非常に強い立場にあります
家賃が相場より少し安い程度であれば、訴訟で敗訴する可能性は、ほぼありません。

そもそも訴訟を起こすコスト(時間・金銭)に見合わないため、実際には訴訟を起こされることはほとんどないと考えてよいでしょう。

万が一、訴訟に発展した場合には、法テラスなどの公的機関を通じて弁護士に相談することをおすすめします

また、築年数が経過している物件であれば、家賃の減額交渉が可能な場合もありますので、
落ち着いて状況を見極めることが大切です。


一方的に家賃を値上げされてしまうケースも存在する

ここまで説明してきたのは「普通借家契約」の場合です。
たとえ更新のタイミングであっても、家賃の値上げには入居者の同意が必要であり、拒否することが可能です

しかし、「定期借家契約」の場合は事情が異なります。


  • 普通借家契約:契約を更新しながら継続(更新時も同条件が原則)
  • 定期借家契約:2年などの期間満了で終了(再契約が必要)

定期借家契約では、契約満了後に再契約を行う際、貸主が新たな家賃を提示してくることがあります
この値上げを拒否すれば、再契約は成立せず、退去せざるを得ない状況になります

ほとんどの場合は普通借家契約のため、気にする必要がない場合が多いですが、一度ご自身の契約内容をご確認することをお勧めします。

※補足:契約期間中は、たとえ定期借家契約であっても、貸主が一方的に家賃を値上げすることはできません。あくまで再契約のタイミングで交渉の余地が生じる点に注意が必要です。


もし値上げに同意してしまったら

すでに家賃の値上げに同意し、書面にサインしてしまった場合
その合意を後から取り消すのは非常に難しくなります

しかし、あきらめる前に、まずは冷静に大家さんや管理会社に事情を説明し、交渉してみましょう


また、合意に至る過程で不当な説明や誤解を招く発言があった場合
その合意自体が無効とされる可能性もあります。

たとえば、以下のような説明があった場合には注意が必要です。

  • 「この値上げは強制です」
  • 「合意しないと退去してもらいます」

このような誤認や圧力に基づく合意は、法律上の「意思表示の瑕疵(かし)」として無効となる可能性があります。


そのような状況に心当たりがある場合は、
まずはお住まいの自治体の消費生活センター国民生活センターに相談してみましょう。
それでも解決しない場合は、法テラスや無料相談を行っている弁護士を活用し、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。


悪徳管理会社や大家の場合

現在は、カード払いや銀行引き落としが一般的ですが、
悪質な大家や管理会社が無断で家賃を値上げし、勝手に増額分を引き落とすケースも報告されています。

そのような場合は、速やかに消費者センターや国民生活センターへ相談しましょう。
無料で対応してくれ、初期対応や交渉の手順についても助言が得られます。

交渉が難航した場合には、弁護士に相談し、内容証明郵便を送付することで、悪質な大家や管理会社側が応じざるを得なくなる可能性があります。


家賃の受け取りを拒否された場合は?

家賃家賃の増額を拒否した際に、「増額分でなければ受け取れない」と管理会社や大家から言われることがあります。

このような場合には、「供託制度」を利用できます。

供託制度とは:家賃を法務局などに預けることで、法律上「支払い済み」と認められる制度です。

供託をしておけば、「家賃不払いによる強制退去」の理由にはなりません。
こちらも詳しい手続きや対応については、消費者センターや国民生活センターに相談するのが安心です。


最後に

不動産業界は、正直に言って違法・グレーな行為が蔓延している業界です。
もちろん、良心的な業者や大家さんもいますが、悪徳な業者も非常に多く存在します。

賃貸契約時や退去時に、本来不要な料金で10万〜20万円規模のトラブルが発生することも珍しくありません。

ぜひ皆さんも、トラブルを未然に防ぐ知識を持ち、万が一の際にも正しく対応できるように備えておいてください。


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